ライフサイエンス
栄養を中心とした多因子介入による認知症・フレイル予防の試み:Evidence-Based Medicine

丸山 和佳子
MARUYAMA Wakako
- 職位
- 教授
- 所属
- 健康科学部 健康栄養学科
- 分野
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ライフサイエンス
超高齢社会日本で増え続ける要介護高齢者の主な原因は、認知症とフレイル(老化による虚弱)です。認知症を予防するためには、「神経老化を抑制する食品成分」を含む「食事パターン」である地中海食やDASH食が有効であるとの研究が世界的になされていますが、日本人を対象とした研究成果は十分とは言えません。疫学データとin vitro、in vivoの研究を組み合わせることで、日本人に適し「認知症を防ぐ食生活」の提言を目指しています。
一方、低栄養、特にエネルギーおよびタンパク質の摂取不足と運動不足はフレイルの原因となっています。また、低栄養を防ぐためには栄養学的アプローチのみならず口腔機能低下、特に歯の喪失の原因である歯周病の早期発見と治療が必須です。「栄養、口腔、運動の3つのアプローチ」によりフレイルを予防するプログラムを地域住民を対象に開発しています。
アピールポイント(長所・差別化ポイント)
近年、地中海食、DASH食、Japanese diet などの食事パターンと認知症発症リスクの関連が世界的に注目を浴びていますが、日本人の認知症のリスクを低減させる食事パターンについて、コンセンサスは得られていません。また、神経老化と食品成分に関する基礎研究と疫学研究とを結びつける研究成果は不十分です。現在国立研究所や大学と共同で研究を進めています。
認知症とフレイルは「老化」という共通な現象の結果起こる事象です。では、老化の原因は何なのでしょうか。血液中の脳由来神経栄養因子(BDNF)の低下は認知症とフレイルに共通して認められます。BDNFは主に神経筋接合部において運動神経と筋肉の再生、さらに認知機能の向上に関与することが知られており、運動により増加します。BDNFが認知症とフレイルの介入研究のバイオマーカーとして有用であるか、臨床研究を行っています。
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