人文・社会
東アジアにおける儒教(朱子学)思想
朱子学と西洋近代思想の受容
日本における神道思想と儒教思想の習合

下川 玲子
SHIMOKAWA Ryouko
- 職位
- 教授
- 所属
- 文学部 日本文化学科
- 分野
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人文・社会
儒教、その中でも朱子学は約800年にわたり東アジアにおける普遍思想として機能してきました。西洋的な近代国家をめざす過程で、朱子学的思惟は、封建的で学ぶ価値がないものと切り捨てられました。しかし、朱子学は、「学べば聖人になれる」として、すべての人間がその素質において等しく完全なる善性を保持しているとして、人間の本来的平等性を前提とする思想です。朱子学的理は、人間の心に付されて内在すれば性となり、人は絶対的に善なる性質を有するようになります。ただし、人間にそなわっている善なる性質は、時に気稟によって曇らされています。けれども、その気稟をぬぐい、本然の性を回復すれば、誰でも聖人になれるのです。その意味で人は、等しく尊厳を有する存在と見なされます。朱子学的思惟が西洋的近代の権利の思想、近代的尊厳論と論理的親和性があることは、中江兆民の思想などから明らかです。東アジアにおいて、朱子学的思惟が、西洋近代の民主主義の思想や権利の思想の受容の前提になっていたことなどを考察しています。
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アピールポイント(長所・差別化ポイント)
東アジアの伝統思想の現代的価値、意義を明確にします。
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