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  1. ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学)

  2. 自然科学一般

高周期典型元素と合成化学を基軸とした創薬資源の創製

安池 修之

YASUIKE Shuji

職位
教授
所属
薬学部 薬化学講座
分野
  1. ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学)

  2. 自然科学一般

キーワード
高周期典型元素,アンチモン,ビスマス,セレン,テルル,触媒反応,π共役系ヘテロアセン,細胞イメージング剤
研究室
https://www.phar.agu.ac.jp/lab/med_chem/
研究メンバー
松村 実生、村田 裕基
リサーチマップ
https://researchmap.jp/read0032191
業績プロ
https://agur1.acoffice.biz/aiguhp/KgApp/k03/resid/S000422

周期表第2周期の炭素・窒素・酸素を縦糸とした「有機化学」と、第3周期以降の高周期典型元素を横糸とする「典型元素化学」を組み合わせることで、有機合成化学における新知見を得るとともに、生命科学・物質科学などに役立つ新しい物質の創製を目指しています。限りある資源の有効利用や代替資源の創出は、現代社会が直面する大きな課題です。これまでに見出されていない高周期典型元素を含む有機化合物の機能を解明することで、健康と福祉、物づくりの化学分野に有益な情報を提供できると考え、研究に取り組んでいます。
例えば、抗がん剤として広く用いられている5–フルオロウラシルの構造に注目し、ウラシルの5位にフッ素以外のヘテロ原子を導入することで新しい生理活性物質の創製を目指しています。これまでの研究で、遷移金属触媒反応を活用しセレン原子の容易な導入に成功し、現在は他のヘテロ原子の導入に取り組んでいます。さらに、π共役系が伸長した多環式複素環は、生細胞イメージング剤の基本骨格として有望です。より優れたイメージング剤の開発は診断・治療において重要な役割を果たします。これまでに新しい多環式複素環構築法を開発し、置換基の有無によって細胞内小器官の染め分けが可能であることを見出しました。現在は、異なる細胞小器官を染色できる試薬の合成に取り組んでいます。また、見捨てられた病であるリーシュマニア症の治療薬には、アンチモンを構成原子に持つ化合物が使用されています。有機化合物は中心原子を取り巻く有機フレームの設計と合成次第で、その種類や数が無限に広がります。特定の元素に囚われることなく、周期表横断型元素化学を展開し、高周期典型元素を含む有機化合物のライブラリーを構築することで、ケミカルバイオロジー分野の共同研究者と協力しながら、生物活性を示す化合物や生命科学の理解に有用な試薬の創製に取り組んでいます。

特許・著書・論文情報

Koyanagi, A., Murata, Y., Matsumura, M., Yasuike, S. Synthesis of sulfenamides from benzoazole-2-thiones with primary and secondary amines using triphenylbismuth dichloride-mediated S-N bond formation reaction. Asian J. Org. Chem., 13, e202400138 (2024).
Kawakubo, M., Inoh, Y., Murata, Y., Matsumura, M., Furuno, T., Yasuike, S. Novel mono substituted pyridoimidazoisoquinoliniums via a silver-catalyzed intramolecular cyclization and their applications in cellular imaging. RSC Adv., 14, 9758-9762 (2024).
Murata, Y., Tsuchida, S., Nezaki, R., Kitamura, Y., Matsumura, M., Yasuike, S. Silver-catalyzed three-component reaction of uracils, arylboronic acids, and selenium: synthesis of 5-arylselanyluracils. RSC Adv., 12, 14502, (2022).
Yamada, M., Takahashi, T., Hasegawa, M., Matsumura, M., Ono, K., Fujimoto, R., Kitamura, Y., Murata, Y., Kakusawa, N., Tanaka, M., Obata, T., Fujiwara, Y., Yasuike, S. Synthesis, antitumor activity, and cytotoxicity of 4-substituted 1-benzyl-5-diphenylstibano-1H-1,2,3-triazoles. Bioorg. Med. Chem. Lett., 28, 152-154 (2018).

アピールポイント(長所・差別化ポイント)

特定の元素に囚われることなく,14~16族典型元素を網羅的に取り扱うことができます。高周期典型元素化合物の取り扱いでお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

得意な技術・提供できる技術

高周期典型元素導入法,複素環構築法

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