人文・社会
禅思想の現代的な可能性:伝統的価値の再発見

清野 宏道
SEINO Kodo
禅仏教がもつ思想・世界観の現代的な意義や価値について考究します。温故知新の観点をベースに、実社会における禅思想の影響力や有意的な可能性を再発見します。特に、日本曹洞宗の起点である道元の思想を基軸として、現代的な視点から実生活での価値観・思考認識・行動等の深みを涵養する禅的要素を探り出します。禅は、もともと日常生活と親和性が高いものです。その範囲は、衣食住はもとより、他者とのコミュニケーション方法やジェンダー的な事柄にまで及びます。こうした禅の伝統性を踏まえ、SDGs(169ターゲット)の推進や既存の市場経済的な価値観に対する新視点になり得る、実社会的な思想展開を目指します。
特許・著書・論文情報
共著:石井修道監修『赴粥飯法』角川ソフィア, 2024年6月
単著:「曹洞宗とSDGs:Purposeの視点から」『曹洞宗総合研究センター学術大会紀要』23, 2022年6月
共同:島薗進他, シンポジウム「20年後も住職の青年僧侶たちへ:今を創ろう明日を咲かそう(過疎問題への取り組み)」全国曹洞宗青年会,2021年5月
アピールポイント(長所・差別化ポイント)
2024年度より、ゼミ活動(3年次生)において、禅・仏教の可能性を探究する一つの方法として、禅に関係する新商品を開発し、日進市の地域マーケット(龍谷寺道了カルチャー・マーケット)に出展して、上記研究の試験的な実地活動を進めています。2024年度は、釈迦(ブッダ)の故郷であるネパールの料理シェル・ロッティをモチーフに、オリジナルスタイルの揚げパンを考案しました。
出展に当たっては、終始一貫して学生主導を基本としています。企画立案(5チーム)・主催者等を招いてのプレゼン対決による企画選定・マーケティング(バリューチェーンを含む)・KGI/KPIの設定・商品開発(複数回の試作)・出展ブースの設計と製作・必要資格(食品衛生管理責任者)の取得等を全て学生自身が能動的に進めています。
また出展後は、主催者・スポンサー・を招いて事業評価(PDCA)を行い、全体を可視化するとともに、事業計画のノウハウを教示していただく機会を設けています。
当該活動の目的は、①これからの社会を牽引するZ世代の価値観で禅・仏教の思想を現代に還元した場合、どのような感性によって何が生み出されるのかという、新時代の需要と供給をとらえること、②ゼミ生各自が学生のうちからビジネス的なマインドを養い、経営資源を含めて市場原理を把握し、事業運営者としての社会経験を積むことにより、社会人(ビジネスパーソン)としての自身の将来像を体感してもらうこと、③どのような生活圏においても、原則として、地域コミュニティの活性度・経済成長・実生活の豊かさといった事象は相互補完の関係にあることを体感し、地域社会の重要性を再認識してもらうこと、この3つです。
なお出展に当たっては、ゼミ生が「学生」という立場に甘んずることなく社会参画すること、および他の出展者との公平性を担保するため、本学科の名は一切表示せず活動を行っています。
研究シーズ 一覧に戻る