人文・社会
ステレオタイプの生態学的原因と社会・文化間共有

塚本 早織
TSUKAMOTO Saori
- 職位
- 講師
- 所属
- 心理学部 心理学科
- 分野
-
人文・社会
- キーワード
- ステレオタイプ
ステレオタイプというのは、特定のグループに対する固定的な見方のことです。その中でも私が最近注目しているのは「環境ステレオタイプ」です。これは、「厳しい環境」や「恵まれた環境」に暮らす人々に対する固定観点のことを指します。最近携わった国際共同研究では、アメリカ、インド、ルーマニア、イギリス、日本の人々に共通して、「厳しい環境で育った人は直感的でリスクを取る性格」「恵まれた環境で育った人は熟慮的で安定志向の性格」と考える傾向があることがわかりました。これは、人間が生態学的な環境に適応しながら進化してきたという説と関係していると考えられます。つまり、人々は世界共通で「環境によって性格や行動が決まる」という考えを持っているのです。
私は特に、「母子家庭」や「多くの子どもを育てる母親」といったカテゴリーに対するステレオタイプを、環境ステレオタイプの視点から研究しています。これらのカテゴリーに属する人々へのイメージが、環境ステレオタイプに基づいているのかを検証し、その実態を明らかにすることを目指しています。将来的には、社会構造と人の認知の両面から、支援や権利に関する議論を深めるための知見を提供できると考えています。

特許・著書・論文情報
Sng, O., Williams, K. E. G., Tsukamoto, S., & Neuberg, S. L. (2024). Ecology stereotypes exist across societies and override race and family structure stereotypes. Journal of Personality and Social Psychology. Advance online publication. https://dx.doi.org/10.1037/pspa0000421
アピールポイント(長所・差別化ポイント)
「母子家庭」や「多くの子どもを育てる母親」に対するステレオタイプを社会生態学的視点から調べた、初めての社会心理学的研究です。国際誌に掲載された点がアピールポイントです。
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